2023.12.21

コラム

土地売却

駐車場経営

徹底解説!相続税対策:タワマン節税から駐車場経営へ

相続税法及び租税特別措置法の令和5年度税制改正

今回は相続税対策について解説いたします。


今年度(令和5年度)の税制改正で災害での相続や生前贈与についての特例が付加されました。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf (参考資料)

今回の改正も有効に利用すべきですが、そもそも相続税はどのようなときにかかる税金なのでしょうか。

亡くなった人(=被相続人)の財産を残された人(=相続人)が受け継ぐことを相続といいます。

相続財産の課税対象額に対して支払う税金を相続税といいます。

Photo by Adobe Stock

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相続財産を直ちに売却した場合には、その利益に対する売却税(所得税)も支払うことになります。

相続税が支払えない場合には、相続する土地等を売却または物納する必要があります。

さらに相続税だけでなく、売却した利益に対する所得税がかかります。相続税と売却税によるダブルの税支払いになりますので大変です。


高級住宅街の運動公園、実は……

古い話になりますが、田中角栄元首相がお亡くなりになったときのことです。長女である田中眞紀子氏は相続税を支払うことができず、土地の一部を物納しています。

田中角栄元首相が所有する通称「目白御殿」は8,500㎡程ありました。

目白御殿の相続を受けた田中眞紀子氏は約65億円にもなる相続税全てを払うだけの預貯金はありませんでした。相続税65億円のうち35億円を現金で支払い、残りの30億円分を物納として約3,200㎡を東京都文京区に納めました。

さらに残った土地には財務省に納税猶予の抵当権を打たれ、相続税の分割払いをしていたとのことです。

なお物納された土地は現在「文京区立 目白台運動公園」となっております。

 

この事例は極端な例ですが、相続税はきちんと準備しておくものです。想定以上に大きな額になる可能性があるうえ、現金がないと物納となり二重苦、三重苦に陥ってしまいます。厳しいですね。


相続税とは?

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まずは相続税について説明いたします。

被相続人の相続税に対する基礎控除額は 3,000万円+(600万円×法定相続人の数) となっております。

父、母、子供3人の5人家族を例として挙げます。
父親が亡くなったとき、相続人は母と子供3人の計4人となります。

この場合の相続税の基礎控除額は 3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円 です。
課税遺産総額は相続税の対象となる 財産(課税財産)-基礎控除額 であり、5,400万円の基礎控除額を超えた分に対して相続税が発生します。

よって課税遺産総額がゼロ円以下になった場合は相続税申告の必要がなくなります。(※贈与による増額や一定の要件を満たすなど、申告が必要になる場合があります) 
また各相続人に対する遺産の法定割合は母、子ともに1/2です。ただし今回の例では子供は3人いるため、1/2を三等分することになります。

ここで上記の場合だと5,400万円より多い財産に対して相続税が発生します。この相続税を少なくするためには相続財産評価を少なくする必要があります。


タワマン節税とその行方

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過去に多くあった事例ですと、タワーマンション(特に上層階)の購入です。不動産の相続財産が市場での売買価格と相続税評価額の乖離を利用して節税効果を得る「タワーマンション節税(いわゆるタワマン節税)」です。

しかし令和5年の税制改正大綱により、マンションの評価が着に乖離率や評価水準の考え方が新たな算定ルールとして導入されました。

事例として不動産鑑定に基づき約12億7,000万円と再評価されたタワーマンションについて、相続人には約3億円の追徴課税が課せられ話題となりました。相続人は予期せぬ相続税3億円に対して現金で支払うことができず、結局タワマンを売却するに至りました。


財産評価額を少なくするには

では、現在有効な土地の財産評価額を少なくする事例があるのでしょうか。

 

1.△ 自用地でアパート経営

ローンで建築した場合のマイナス額が相続時に相殺できます。しかし自用地の財産評価額を減額することはできません
また、空室リスクが常に伴います。

2.△ 貸宅地としての貸し出し(借地借家法の対象)

財産評価額の減額ができます。ただし、借地借家法にて一方的に契約の解除ができない縛りがあります。

3.〇 自用地としての駐車場経営

アスファルト等の敷設(駐車場が構築物などの施設を有する「宅地等」)があれば小規模宅地等の特例が適用されます。その場合、相続税評価額は200㎡まで50パーセントの減額となります。200㎡以上は対象になりません。(現況により雑種地としての評価)

4.◎ 使用賃借としての駐車場経営

土地を貸しての駐車場経営は借地借家法の対象になりません。そのため駐車場契約であれば貸主から契約解除を実行することも可能です。
また、民法上の賃借権が生じているため土地の評価をする際には賃借権相当額の評価減が認められます。

賃借権の登記や権利金の支払いがある場合や構築物の所有を目的とする場合の財産評価額の減額割合は下記の表をご参照ください。


まとめ

1~4の場合分け、いかがでしょうか。4の「使用賃借としての駐車場経営」は相続税対策として有効と考えられます。

アスファルト舗装や精算機、立体駐車場などの構築物がある場合、小規模宅地等の特例や財産評価額の減額を適用できます。構築物の所有者が業者や別法人であっても特例の対象になります。

特に都市部の土地は評価額が高いため、所有者が亡くなると高額な相続税が発生する場合があります。
しかし、上記の要件を満たす土地には特例税制を適用できるため、被相続人が経営していた貸駐車場を相続した時には評価額の引き下げが可能となります。

貸し駐車場は安定的な賃料が入り、賃貸マンションなどに比べるとメンテナンス費用も抑えられるうえ、評価額を下げられるため魅力的な相続財産になり得ます。
また被相続人がそのまま駐車場業者に売却することも可能です。
その場合には業者が土地を含めて転売すると仲介手数料等が発生するため、自社用地で駐車場経営を行う業者を選択することも一つのポイントとなります。

早め早めの対策が財産を守る上には重要です。現況を専門家に判断してもらう必要もあります。相続税対策に迷ったときは、土地活用・駐車場経営に詳しい業者へ相談してみましょう。

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