駐車場の積雪・凍結対策ガイド|事故が起きやすい場所と適切な薬剤の使い分け
気温が氷点下になると路面が凍結し、スリップ事故を招く危険な状態になります。特に雪に慣れていない地域では、冬季でもノーマルタイヤ(夏タイヤ)のまま走行する車両も見受けられ、駐車場内でのトラブルも後を絶ちません。
今回は駐車場管理会社の視点から、積雪・凍結時に事故が発生しやすい場所とその対策、そして薬剤の正しい使い分けについて解説します。
■ 事故が発生しやすい場所と対策
1. スロープ(傾斜部)

上り下りが必要なスロープは、凍結すると非常に危険です。坂道発進時にタイヤが空転し、車両が制御不能になったり壁に衝突したりする恐れがあります。
- 駐車場側の対策:事前に「凍結防止剤」を散布する。積雪が激しい場合は、カラーコーン等で一時封鎖を検討する。
- 車両側の対策:屋外のスロープ走行は避け、スタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着する。
2. 駐車枠(ライン付近)

積雪によって白線が見えなくなると、車室外への接触や、隣の車との接触事故の原因になります。
- 駐車場側の対策:定期的な雪かきを行い、ラインが視認できる状態を維持する。
- 車両側の対策:車止めや車室中央の目印、壁側の柱などを目安にして慎重に駐車する。
3. 出入口(歩道との境界)

道路と駐車場の境界にある「切り下げ(段差)」は、水が溜まりやすく凍結しやすいポイントです。
- 駐車場側の対策:道路部分は自治体の管理ですが、境界付近は安全配慮のために雪かきを行う。
- 車両側の対策:段差を越える際の空転に注意し、目視で凍結状況を確認しながらゆっくり進入する。
4. 鉄板敷の簡易な立体駐車場

床面が鉄板の駐車場は、アスファルトよりも冷えやすく、路面全体がブラックアイスバーン化する恐れがあります。
- 駐車場側の対策:凍結防止剤を散布する。融雪するまで封鎖も検討する。※塩害による鉄部腐食には注意が必要。
- 車両側の対策:金属面は極めて滑りやすいため、スタッドレスタイヤ等の装備を必須とし、徐行を徹底する。
■ 「凍結防止剤」と「融雪剤」の正しい使い分け

駐車場で活用できる薬剤には、主に2つの種類があります。効果を最大化するためには、状況に応じた使い分けが重要です。
1. 凍結防止剤
凍結防止剤は、雪や氷が発生する前に道路や歩道に散布されることで、凍結そのものを防ぐために使用される化学薬品です。主に塩化カルシウム(CaCl2)や塩化マグネシウム(MgCl2)が使用されます。これらは吸湿性が高く、低温下でも効果を発揮します。
メリット
・凍結を未然に防ぐことができ、安全性が向上する。
・吸湿性があるため、湿度を保持し、効果が持続しやすい。
デメリット
・予防的な使用が必要であり、タイミングを誤ると効果が薄れる。
・塩分による金属腐食や環境への影響が懸念される。
使用するタイミング
・雪が降る予報が出ている。
・気温が氷点下になり、路面凍結が予想される。
2. 融雪剤
一方で融雪剤は、積もった雪や氷を溶かすために使用される化学薬品です。最も一般的に使用されるのは塩化ナトリウム(NaCl)です。融雪剤を散布すると化学反応により雪や氷の融解温度が低下し、気温が氷点下でも雪や氷が溶けるようになります。
メリット
・即効性が高く、凍結した路面を短時間で溶かすことが可能。
・比較的コストが低い。
デメリット
・使用後、溶けた雪が再び凍る可能性がある。
・塩分による金属腐食や環境への影響が懸念される。
使用するタイミング
・すでに雪が積もっている。
・道路や歩道がすでに凍結している。
3. 比較表
| 比較項目 | 凍結防止剤 | 融雪剤 |
|---|---|---|
| 主な成分 | 塩化カルシウム など | 塩化ナトリウム など |
| 主な役割 | 凍結を「未然に防ぐ」 | 積もった雪を「溶かす」 |
| 使用時期 | 雪が降る前・氷点下になる前 | すでに積雪・凍結している時 |
| メリット | 持続性が高く、予防安全に優れる | 即効性があり、短時間で雪を溶かす |
どちらの薬剤も、主成分は「塩」に近い性質を持ちます。駐車場の鉄骨部分や、車両の下回りを錆びさせる原因となるため、使用量は必要最低限に留めましょう。近年は環境負荷の低い非塩化物タイプも開発されています。
■ 車両側の装備:タイヤ対策のポイント

突然の雪に備え、以下のいずれかの対策を準備しておきましょう。
- スタッドレスタイヤ:積雪路に特化したタイヤ。冬になる前の履き替えを推奨します。
- タイヤチェーン:金属やゴム製。スタッドレス以上の制動力を発揮するため、万が一の備えに最適です。
- スノーソックス(布製):タイヤに被せるだけで着脱が簡単。ただし耐久性は低いため緊急用です。


