2024.03.21

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「セイワパーク西鉄都府楼前駅前」の前面道路は歴史的な道路!日田街道の痕跡をたどる



福岡県太宰府市坂本1丁目3にある「セイワパーク西鉄都府楼前駅前」の前面道路。一見なんてことはない普通の道路ですが、実は江戸時代に整備された、博多と大分県日田を結ぶ日田街道なのです。
日田は江戸幕府直轄の領地(天領)であったため、博多と日田を結ぶ日田街道は歴史的にも重要な街道とされていました。

ところが現在の日田街道は東海道や中山道などといった、いわゆる五街道ほど観光地化されていません。現在では道路拡張や河川工事によって痕跡をたどるのも難しくなっているのです。

ここセイワパーク西鉄都府楼前駅前の周辺では、日田街道の数少ない痕跡をたどることができる貴重なスポットがいくつか存在しています。

早速日田街道の痕跡を探っていきましょう。
【セイワパーク西鉄都府楼前駅前】収容台数7台 料金看板は24年3月時点のもの

【セイワパーク西鉄都府楼前駅前】収容台数7台 料金看板は24年3月時点のもの

日田街道とは?
日田街道とは、江戸時代に整備された福岡・博多(筑前国)と日田(豊後国)を結ぶ街道のことを言います。
日田は当時、江戸幕府の直轄の領地(天領)であったため、九州における政治や経済の中心地となって発展していました。
そのため北部九州の諸大名や役人、商人などが日田へと往来する街道として整備・活用されたのが日田街道ということです。

また日田街道は長崎街道、薩摩街道とも交差するため、九州各地の大名による参勤交代の途中に筑前や日田へ立ち寄るための街道としての役割も同時に担っていたようです。

日田街道の宿場町
街道にはいくつか宿場町が設けられることとなります。
日本で最も有名な街道ともいわれる東海道では実に五十三もの宿場町が設けられました。歌川広重により描かれた浮世絵「東海道五十三次」により広く存在を知られています。

日田街道もまた例外ではなく、以下の通り五つの宿場町が設けられました。

宰府―二日市―甘木―志波―久喜宮

※宰府宿は太宰府天満宮に訪れるために作られた観光用の宿場町です。
※他にも長崎街道に位置する山家宿とも近かったため、併せて利用されていたようです。

つまり博多から二日市までの間およそ四里(一里≒約4キロ)には宿場町がありません。
セイワパーク西鉄都府楼前駅前は二日市宿まであと半里という位置にあります。おそらく疲れ切った当時の人々が「もう少しで宿場町だ」と思いながらこの街道を歩いていったのだと思うと感慨深いものがあります。
※雑餉隈に相の宿が設けられていました。相の宿とは、次の宿場への距離が離れているために作られる休憩所のようなものです。

日田街道の痕跡を探る
さて、いよいよセイワパーク西鉄都府楼前駅前の周辺に潜む日田街道の痕跡を探ってみましょう。


当駐車場を背に、右方向が日田方面、左方向が博多方面です。日田方面へ行ってみましょう。
すると徒歩30秒もしないうちに小さな祠と、そこに建てられた日田街道にまつわる案内看板がありました。


この道路が間違いなく日田街道であることがわかります。
更にこの地は太宰府天満宮への参詣道と日田街道が合流する地点でもあることから、当時の様子を「往来の人のしげきこと 東海道と同じといへり」と筑紫紀行に記されています。観光客や街道を往来する人々で東海道と同じくらい大変な賑わいを見せていたこということですね。

他にもこの地域には元々「関屋」という地名(小字)であり、中世まであった関所に由来していると書かれています。
関所とは交通の要衝に設けられた徴税や検問のための施設です。
江戸時代だけでなく、それ以前から重要な土地であったことが伺えます。

日田方面へ歩みを進めること1分ほど。
旧国道3号線との交差点が見えてきました。
ここの交差点には鳥居が建てられており、これより先は太宰府天満宮への参詣道であることが示されています。


鳥居の手前には常夜灯と道標が設置されています。
この常夜灯が太宰府天満宮参詣道と日田街道への分かれ道(追分)としての目印になっていたようです。
【是ヨリひがしさいふ参詣道】道標【是ヨリひがしさいふ参詣道】
裏には「元禄四年辛未天寄 福岡呉服町 帯当金宇兵衛」と彫られています。

案内看板もありました。
ここの常夜灯は戦前まで毎晩火が灯されていたとあります。
さて、この看板にはこの地を描いた絵図が記載されています。
この絵図の左下には橋が架けられているのが見られますが、それがこちらの関屋橋です。

つまりこの橋が日田街道へと続く道であることがわかります。
この写真は橋を渡った先にて、先ほど立っていた常夜灯方向を撮影したものです。
常夜灯がビルの奥からちらりと顔を覗かせているのがわかるでしょうか。
当時は当たり前ですがビルはなく、橋の向こう側でも常夜灯がよく見えたことと思われます。

関屋橋を渡ると駅が見えてきました。


都府楼前駅です。
日田街道は踏切を超えてまっすぐに進んでいき、半里ほど先に二日市宿があります。

今では都府楼前駅から一駅だけ電車に乗れば西鉄二日市駅に到着します。
江戸時代の人々は博多から長い時間をかけて歩き、ようやく二日市宿まであと半里まで来たというのに、現代ではいかに便利な移動手段が存在していることでしょうか。日田街道を横切った線路を見るとそう考えてしまいます。

さて、セイワパーク西鉄都府楼前駅前駐車場から都府楼前駅までは徒歩5分ほどで到着します。

先ほどの常夜灯の先には鳥居があり、太宰府天満宮へと続いています。

当駐車場に車をとめて日田街道を歩き、太宰府天満宮へ足を運ぶなど、当時の人々の足跡を追いかけてみてはいかがでしょうか。
帰りは太宰府駅から西鉄電車を利用し、都府楼前駅で下車して戻ってくることもできます。


■関屋交差点(鳥居と道標) 徒歩2分
■西鉄都府楼駅 徒歩5分
■大宰府政庁跡 徒歩11分
■太宰府天満宮 徒歩40分



セイワパーク西鉄都府楼前駅前

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